チビ庭と寒波の思い出

ガーデニング

チビ庭には、小さなアボカドとマンゴーの木があります。どちらも、私が食べた果物の種をせっせと庭に植えて育てたものです。全部の種が発芽したわけではないので、この子たちはとてもラッキーな存在です。まだまだ実をつけることはないでしょうが楽しみにしています。

この冬も氷点下の日が何日かありました。鉢植えの植物は家の中に避難させましたが、地植えのアボカドとマンゴーは不織布(ふしょくふ)で包んで寒さをしのがせました。おかげで枯らさずに冬を越せました。

そういえば、数年前にも強烈な寒波がありました。2021年の2月、ヒューストンで氷点下10度を記録した時のことです。私は当時アパートに住んでいて、「寒くなるらしい」と聞いてはいたので、数日間外に出られなくても大丈夫なように、食料を多めに買って備えていました。でもまさか、4日間の停電と、その後の2日間の断水を経験することになるとは思っていませんでした。

テキサスのアパートはほとんどがオール電化です。火災リスクのあるガスは保険料が高くなるため使われていないんです。つまり、電気が止まると暖房もお湯も使えません。(戸建ては別です。でもたぶん保険料は上がるかと。)外は氷点下10度、室内も日に日に冷え込み、4日目には室温が4度にまで下がっていました。

最初のうちは「そのうち復旧するだろう」とのんびり構えていましたが、どんどん状況は悪化。雪も降り、それが凍って道路もアパートの外階段もツルツル。プールさえ凍っていました。寒さの中、着替えをしても寒さを感じなくなってきて、「これって…雪山で遭難した人の話に似てる…?」なんて、ぼんやり考えてしまうほど。ラジオをつけてはいましたが、情報も断片的で、状況を正確に把握できませんでした。

では、なぜここまでの大混乱になったのか。
実は、テキサス州の発電施設は寒さに弱い設計だったのです。通常は温暖な気候のため、寒波に備えた設備(いわゆる“冬期化”)がされておらず、配管は凍結し、天然ガスの供給経路も止まってしまいました。そのうえ、寒さで暖房需要が急増したため電力不足が深刻化。

さらに問題だったのは、テキサスが他州と電力網をつないでいなかったこと。独立した電力網を使っていたため、他州から電力を融通してもらえなかったのです。独立心旺盛なところが裏目に出たらしい😰 電力網全体の崩壊を防ぐために、計画停電を行なうも、復旧には時間がかかり、結果的に氷点下の中で暖房も使えず、多くの方が命を落とす事態となりました。公式発表では200人以上、別の推計では700人近くが亡くなったとも言われています。この数字の幅が示すように、実際の被害の全容は今も分からないままのようです。

後から思い返すと、数日後アパートのオフィスのスタッフが一軒一軒まわって様子を確認していたのは、安否確認だったのかと納得しました。

私がどうにかこの4日間を耐えられたのは、以前キャンプにハマっていた時に使っていたカセットガスコンロが手元にあったからです。ただ、ガス缶は3本ほどしか残っておらず、節約しながらお茶を入れたり、簡単な食事を作ったりして使いました。まさか、外は氷点下、室内最低温度4度の状況で数日間暮らすことになるとは想像もしていませんでした

後になって知ったのですが、私の地域は完全に停電していたのに、他の場所では何の影響もなかったところもあったようです。この経験を機に、私は寝袋とテントを買い直しました。まさかに備えるために。
「百年に一度」と言われる寒波も、起きる時には本当に起きる——そう実感した冬でした。

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